小生のよくない所。3週間ぶりに道場稽古に出て、しかも久しぶりに組手稽古に参加したのでついつい、ほぼ思い切りやってしまい、色帯の後輩を痛めてしまった。組手と言ってもローキックのみの限定組手であり、相手もきちっと受けているのでまあよかろうととして、それ程力の加減をせずに普通にスピードとパワーを入れたローキックをしていた所、終わってから彼は膝を痛めたように座り込んだ。申し訳なし。大丈夫との返答を得て多少は安心したが、限定組手とは言え相手が受けているから大丈夫とは思わずに、手加減をしなければならない。
その前にパンチのみの限定組手を別の相手とやったが、その場合は多少加減をしていた。その時の相手のガタイより一回り大きい小生は、パンチで押し込もうとすれば、まあいつでもできるので、相手の出方を見つつそれなりにやっていた。
ただ、ローキックオンリーの限定組手となると特に工夫する所も少なく、最初は相手の技を受けてはいたが、その内ポンポンと出す小生のローキックに相手は防戦一方となった。ただし相手もそれなりにうまいのでちゃんと受けている。また体重もほぼ同じだ。だからまあよいとして力をより入れて蹴るようになった所、終わってみれば、である。小生の脛は相手の膝より固かったようだ。
そう言えば、最近はあまり脛を鍛えていない。通りがかりの鉄骨を蹴ってもいないし、サンドバッグ稽古も少なくなった。またやっとかんとな。脛の蹴り味が最もよいのは道路の標識である。適度に少ししなってくれてよい。ただ人目がない所でやらないと、当然変な奴として警戒されるだろうな。
さて、脛を鍛えることをサボってはいるものの、既に相手の膝よりも固い。
と、話していても面白くもなんともないので、今日はもう少し書こう。
小生の歯が折れた時の話。こちらが痛い目に合った時の話である。
昔、大学空手道部で、寸止め(伝統派)空手をやっていた頃のこと。
一本ずつ二人の人間が折ったので、前歯は2本欠けた。それ以前に小学生時代に遊んでいてこけた時に一本折ったので、計3本の前歯がない。今は前歯全域をブリッジにして、その欠落した3本を賄っている。欠落した3本をブリッジにて歯があるようにする為に、その両脇3本、左1本、右2本を細く削った後、上から計6本の歯のブリッジをかぶせている。一度このブリッジを新調する為に取った時には前歯全体が無いようで、上唇が奥に引っ込み縦皺の出た老人の唇になり、フガフガしゃべる羽目になった。
小生の歯を折った奴は、二人とも空手が弱く経験年数も初心者に毛の生えた程度だった。いずれも小生がよけてくれると思ったのか、いやいやそれ以前に何かせねばやられると察知して思わず出した上段突きであったのだろう。余裕を以て組手していることはつまり、油断していることであり、まともに入ってしまった。伝統派の寸止め空手であるから止めないといけないのだが、しょーがない。相手はどうせ小生に受けられるかよけられるかだから、追いつめられて放った。
ありきたりの言葉だが、油断大敵だ。
仕事での怪我も交通事故も、慣れたことをやっていて余裕をかましている時に起きやすい。そういうもんだというのが改めてよく分かる。自覚的に注意を払っている時には事故は起きない。空手でも強い奴と緊張感を以て闘うときは、寸止め空手の場合はきちんと互いに止めるし、例え当たったとしても、相手は止める途中であり、またこちらも少しかわしているから大きな怪我はしない。唇を切るくらいだ。
まあ、そういうもんだ。
大学2年の時に1本歯を折られ、それから入れ歯で過ごし、現役を引退した時にもうよかろうとブリッジを作った。その後OBとして新人に毛の生えた相手の相手をしたときに、ブリッジごと3本目の歯を折られた。ブリッジを作った為に折れた歯の隣の歯は細く削ってかぶしているもんね。その細い歯が折れた。
通算3本目の歯が折れ、同時にブリッジが壊された時はもうがっくりだ。今から30年前、15万くらいしたブリッジが壊されて、なおかつ歯抜け顔でしばらく暮さねばならなかった。痛みよりも経済的なショックが大きかったなぁ。
小生が今フルコン空手をやっているのは、もうブリッジを壊されたくないし、また新たに歯を折られたくないからである。上段の突きがないフルコンは、寸止めだとしても上段突きがある伝統派よりは、はるかに歯を折られる危険性は少ない。破壊力のあるフルコンの蹴りや突きが当たってしまえばしょうがないが、その確率は伝統派空手よりはかなり低い。
格闘としてどちらが強いだろうかと言えば、両方をやった自分としては、フルコン空手に軍配を上げる。ただ一瞬の上段突きで気絶してしまえば、そうするだけの力量のある伝統派の空手家がいれば、それはそれで非常に強い。グローブをつけてはいるが顔面パンチを許しているムエタイやキックボクシングの方がもっと強いとは言えるが、もう、こちとら歯を折られることはコリゴリであり、顔面パンチに関しては御免したい。
30年前の大学空手道部で、紅顔の美少年は歯が折れ鼻も少し陥没してしまった。鼻が曲がり鼻中隔矯正手術をやり削られた為にドボンと低くなった話はまたその内に。空手で多くのことを学び得たが、外見のよさ(?)は失ってしまった。学生空手を引退してからしばらくして差し引きどうだったかを考えたこともあった。空手で根性と格闘術は身につけた。失ったものは紅顔と、調子のよさと協調性みたいなものである。
前にも書いたが「小乗的」な空手家の俺にとって、勝つか負けるかの勝負が舞台であり、そこには協調性みたいなものはない。そういう感じで会社生活をおくったら、必死で仕事すればするほど上司と喧嘩してしまい、ひどい時期があった。
本日の話。若く血気盛んで真面目に空手に打ち込んで歯を2本失った。油断している時に失った。本当にきちんと気合を入れて勝負するなら、例え何かを失ったとしても、そのことが逆に教訓になり己の成長の糧となる事はよく分かっている。
だから、油断大敵!
油断は反省にはなるんだけど、得るものは無し。
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