2011年11月17日木曜日

重力利用の空手、世界王者ニコラシビリ

久しぶりに書く。

かれこれ1か月以上も道場に行っていないので空手稽古は薄い。とは言え、ここ1週間の昼トレはマアマア中身があるし、週に1回弱は会社の稽古場でサンドバッグを蹴っている。

今日も約1時間で2分12,3ラウンドはやってきた。

本日の課題は「重力」。「沖縄武道空手の極意」には、重力を利用して技を出すのが空手とある。確かに昔、野稽古で足場の悪い所でやる技は地を蹴って腰を素早く回して破壊力をつけることはできにくかったであろう。どんな足場でも丹田に重心を置き自分の体重を乗せた突き蹴りを相手に対してすることが破壊力を生んだはずだ。

先日の極真松井派の世界大会でこのことを確認した。

信じられますか!! 173センチ88Kの小兵のロシア選手が、107Kの前回王者、ブラジルのテイシェイラを破って優勝してしまった。彼、ニコラシビリは前年の日本選手権を制しているから強いのは強いんだが、まさかこれ程とは。
 
どんだけ攻撃を受けてもこたえない肉体、再々延長でもスタミナが切れずが強さのベースだが、彼の突き技で特徴的なことを発見した。それは速く突きつつも相手に体重をかけるということ、と言うのが分かりやすい表現だろうが、極端な言い方をすると自重で前につんのめるその力を突きにすべて乗せること。これが巨体の相手に対しても下がらない驚異的なことを可としている。また「重力」を利用して「不安定」の中の「安定」で動いている訳だ。これも「古伝」の本で述べられていること。

今度サンドバッグ稽古するときは、重力利用の突きを試さねば、と思い本日サンドバッグ相手にやってきた次第。突きに体重を乗せ突き切ることが必要。押し突きではダメ。前に倒れる力を突きにすべて託しているので、突いた後はその倒れる力を出し切った一時の平衡すなわち安定を得るべきである。押し突きは押したまま不安定のままであるし、そんな押し突きならば重い相手には押し負けて終わり。前に倒れる力を突きの破壊力に変えなければならない。まだまだ押し突きになり、突きにすべての体重を乗せ、それを破壊力として一瞬で放つことはできない。まあ、そんなに簡単なことではないだろう。

「不安定の」中の「安定」とはかくの如くと思う。古伝空手は「居つく」ことをダメとする。今の型で、一つ一つ技をピシッと決めて静止すること自体が「居つき」であり、イカンと言う。常に動き、触れなばと言うか、相手と接触した時に一瞬の力を伝える。その伝え方が重力ということ。

ニコラシビリの組手がそうであった。回転の速い全ての突き技、蹴り技さえも自分の体重を乗せ相手を突きぬける破壊力を感じたし、そうであるから技をかけた後安定し、また不安定つまり自重を重力にのせ攻撃を重ねられるのである。